「いつか、大切なところ」の後ばなしを書く
情景の描写などから心情が分かることを見いだしながら、2人の登場人物の関係の変化をとらえた子どもは、その後、亮太はどうなったかについて想像しました。そして、「また新しい街で、新しい友達をつくっていくと思う」「新しい町で(商店街で声を掛けてくれた)女の子と仲よくなって、ここが自分の町だと言えるようになっていると思う」など、自分の考えたことを「心ふれるストーリー手帳」に書いたことを基に、物語の後ばなしを書きました。
子どもは、次のような後ばなしを書いていました。
チリン、チリン。
チリン、チリン。
亮太の町を、2台の自転車が走っていく。
「西村君。もうすぐ着くよ。」
その言葉を耳にしたとたん、亮太の胸は高鳴った。今日は、亮太が待ちに待った、児童センターでのたっきゅう大会に行く日だ。亮太は、たっきゅうクラブの1人として、町の人たちとたっきゅうで競い合うのだ。
「着いたよ!おたがい、がんばろうね。」
女の子の声は、今まで以上にはずんでいた。
「よーい。スタート。」
ピーッ。
しんぱんの合図が鳴り響いたとたん、たっきゅうの音が児童センター内にひびきわたった。
タン、タン、タタン。
タタン、タン、タン。
亮太は汗を流しながら、戦っていた。だが、結果は、負けてしまった。
「西村君、次は絶対勝とうね!」
「うん・・・!」
悲しみもくやしさも混ざって、亮太は不思議な気持ちになった。
でも、その汗と涙は、亮太の宝物になった。
次の日、学校が終わった後、亮太は児童館に行ってみた。児童館の中に入ると、たっきゅう台があった。亮太が「すごーい」と見つめていると、後から昨日の女の子がやってきた。
「西村君!」
と、亮太の所に行った。
「いっしょにたっきゅうやろう!」
亮太は、
「うん。」
とうなずいた。たっきゅうをやっていると、昨日の女の子が強くて、勝負に負けた。でも、まわりの子が「すごい」「上手だね」「たっきゅうのコツを教えて」といろいろ言った。それを聞いた亮太はうれしくほほえんだ。
その次の日、学校が終わって、児童館に行った。そしたら、まわりの子が、「またたっきゅうのコツを教えて」「ぼくと勝負して」など、亮太が人気者みたいになった。亮太は、新しい友達ができてうれしかった。