「なりきり詩」を読んでつくったよ
11月8日、子どもは、詩人 工藤直子さんの「こんなときこそ」(*1)、「ぼくはぼく」(*2)という詩に出あいました。(*1・・・工藤直子『のはらうた Ⅰ』1984年、童話屋 所収)(*2・・・工藤直子『のはらうた Ⅳ』2000年、童話屋 所収)
「こんなときこそ」(もぐらたけし)
おなか いっぱいだし
ひるねも すませたし
ぽかぽか しているし
あたりは しずかだし
けがわは つやつやだし
まえあしは げんきだし
わらいたい きぶんだし
おどりたくもなるし
こんなときこそ
さんぽをするとき!
うちを とびだせば
ぼくの うしろに
つちの ひこうきぐも
もくもく わきだす
もくもくもくもく
「ぼくはぼく」(からすえいぞう)
ときどき ぼくは
ほんのすこし
いろつきのはねが ほしいなと
おもったりする
いいこえでうたえたらな と
おもったりもする
でも
これが ぼくだ と
とんでいく
2つの詩を読んだ子どもは、「『あたりは しずかだし けがわは つやつやだし まえあしは げんきだし』が、もぐららしい」「『いろつきのはねが ほしいなと おもったりもする」は、黒いからすだから思っていそうだなと思う」などと話しました。また、詩の内容や作者名(「もぐらたけし」や「からすえいぞう」)から、詩人さんが生き物になりきって詩をつくっていること、すなわち、この詩が「なりきり詩」であることをとらえました。
詩の面白さを感じた子どもは、自分もつくってみたいという思いを湧き上がらせ、教室や屋外で詩をつくりました。
そして、子どもは、生き物や自然のものを見つめ、次のような詩をつくりました。
「きれいなわたし」(さくらさくこ)
私は はるになるとわかがえる
私は みんなの人気もの
だから私は きれいだとおもってる
うふふ あはは とわらってる
でも・・・ふゆになると おばあちゃんになっちゃう
おばあちゃんになっても きれいだとおもってる
「どっちもどっち」(ハリネ・ズミ)
みんなとなかよくなれない
わるくないのにきらわれる
ふとんはやぶれる ぬのもやぶれる
すかれてるけど こわがられる
はりがなくなれば
でも てきがくれば よゆうだな
みんなきてみて あそぼうよ
ワイワイあそんで げんきだそう
「ぼくはぼく」(カメダエイジ)
ときどきぼくは
ほんのすこし
あしがはやくなりたいなと
おもったりする
ほんのすこし
ともだちがほしいなとも
おもったりする
でもこれがぼくだと
すごしていく
「空」(空じろう)
僕は ふつうはやさしいんだ
でも ときどき怒るんだ(怖いぞ~)
くもりは少し怒ってるんだ
雨がふると さあ大変
だれもとめられない
ぼくは あつあつの太陽がすきだ
でも 怒っているときは大きらいだ
僕は 気分で変わる変なもの