巨大な木の不思議な力
金谷には、いくつもの山や道があります。子どもはこれまでに、オランダ坂やベルリン坂、ホタルの道を歩いたり、白旗山、本当の金谷山を登ったりしてきました。
この日子どもは、新しい所に行ってみたいと考え、子どもが「牛木山頂」と呼んでいる丘の奥の斜面を登ってみることにしました。前回、この斜面の草刈りをしていた相澤さんに来ていただき、子どもと共に登りました。斜面には、栗の木や桜の木があり、栗拾いをしながら登りました。途中に、巨大な朴の木がありました。相澤さんは「ここはパワースポットだよ。抱き着くと力がもらえるよ」と教えてくれました。子どもは木の回りをメジャーで測ったり、木に抱き着いたりしました。
斜面の最上部に来ると、下の広場が見えました。「ヤッホー」と叫ぶと、麓にいる仲間が気付いてくれました。その先に進むと、分かれ道がありました。下る道とさらに奥に進む道です。子どもは、もっと探検したいと考え、奥に進む道を選びました。藪の場所もありましたがかき分けながら進み、戻って来ることができました。相澤さんたちとスタート地点にあるテーブルを囲んで休憩をしました。子どもはここを「秘密の場所」と呼び、弁当や流しそうめんを持ってきて食べました。
また、本当の金谷山にもう一度登りたいと考えている子どもがいました。教室で登りたい仲間を募り、9人が集まりました。牛木さんやボランティアの方を含めて14人で登りました。6月に登った道は藪が生い茂っていたことから、下山のときに歩いた藪の少ない道から登り返すことにしました。しかしこの道は、かなりの急勾配です。子どもは、一歩一歩踏みしめて階段を登ったり、さらに急な斜面は手をつきながら登りました。途中で高速道路のトンネルの上を通ったり、牛木さんが持ってきた地図を見たりしながら山頂を目指しました。
約1時間で山頂に着きました。そこには大きな石柱が変わらずに立っていました。牛木さんは、「ここはかつてのクロスカントリースキーのコースだった。ぼくが中学三年生の時に、国体のクロスカントリー競技の前走をして滑った場所だ」と話してくださいました。子どもは、今は藪に覆われて使われなくなったコースを見つめていました。
下山が始まると牛木さんが「下山の方が事故が起きやすい。途中でロープを張るから、安全に一人ずつ下ろう」と話してくださいました。軍手を付けて、牛木さんが張ってれたロープを握りしめながらゆっくりと下りました。途中に、イノシシの休憩所がありました。子どもはイノシシになり切って木に背中をこすりつけました。全員が下山すると隊長を務めた子どもは、「みんなが無事ゴールできてよかったです」と話しました。
子どもは、作文シートに次のように書いていました。
「今日は、第十回目の金谷アドベンチュでした。けれども、まだ行った事がない所があったのでそこに行くことに、この前の計画で決めました。そして、いよいよ行く日になって、そのルートに行くことになりました。ぼくたちが行くルートは、牛木山頂の周りをぐるっと回るまだなぞにつつまれたエリアです。その時にくわしい人たちもチームにくわわってくれました。それで歩き始めてからすぐにがけのある所に来ました。そこを少し歩いたところで、くりがたくさん落ちていましたが、そこの7割ぐらいは他の人に取られていると相澤さんは言っていました。ですが、そのわりには、たくさんくりをひろう事が出来ました。(中略)その次は、きりの良い所でくりひろいをやめて、相澤さんのパワースポットに行く事にして、また少しそこから歩きました。パワースポットには巨大な木がありました。その木には相澤さんの話によるとせいせきがあがったり、力が上がるなどということがあると聞いたので、それならばと思って木にだきついて不しぎな力をもらうことにしました。そうしたらなんだか力がみなぎる感じがしました。そしたらそこからさらに進んだら、昔の金谷スキー場のジャンプ台があって、ドングリもたくさん落ちていました。その話によると金谷スキー場にはジャンプ台が十か所あるそうです。そして最後にぼくたちはくりをまたたくさんひろって金谷山公園にもどりました。」
「私は、本当の金谷山(本金)に行きました。初めてなので、ちょっと心配だったけれど、がんばりました。私は水とうにひもがついていなくて、牛木さんがひもをかしてくれました。おかげで両手があいて、登る時にたいへんじゃなくなりました。本当の金谷山へ行くとちゅうに、高速道ろがありました。その間にすごくきゅうな坂があって気をつけました。そして、〇〇君が、『前より草がボーボーになっている』と言っていて、草も成長していた事に気づきました。その後に、いのししが石みたいのにけずったあとがあって、そのまねを先生と〇〇君がしていました。そして、ちょう点につきました。その後みんなでおはかみたいな所に行って写真をとりました。そして、また同じ道を通って帰りました。帰る時下り坂があって、行きの時にロープを結んでいたのでそれを使っておりました。と中ちょっとすべってあぶなかったけど、どうにかのりこえました。」