ホタルを何のために連れてきたのか知りたい
教室で、金谷で捕まえた生き物を育てています。ニホンイシガメ、二ホンアカハライモリ、カナヘビ、ヒキガエル、メキシコサンショウウオ、ミシシッピアカミミガメなどです。また、金谷では、ホタルやカワニナ、ヤマカガシ、シマヘビなども見つけてきました。教室で観察したり、お世話をしたりしながらも、亡くなってしまう生き物がいることから、再び金谷へ返すこともしてきました。その中で、「外来種は逃がしてはいけない」と話す子どもがいたことから、外来種について考えていきました。
子どもは、外来種について自分が調べていたことを話していきました。仲間はその話を聞き、もともと日本にいなかった種であること、外国から船や荷物と共に運ばれてきてしまったこと、人間が飼っていた外来種を逃がし増えてしまっていることを知りました。外来種が在来種を食べてしまい、生態系が崩れることを話す子どももいました。金谷で捕まえてきた生き物を見つめながら、金谷にも外来種が多くいることに気付きました。
その一方、子どもは、かかわってきた金谷のホタルが在来種であることに安堵しました。そこで、金谷でホタルがどのようにして舞うようになったのか、上越ホタルの会の髙橋慶一さんがホタルの観賞の際に話してくださったことを改めて振り返りました。
「昔は田んぼがあって、もうやらなくなっていて、荒れ地であったところに、よそからホタルをもらってきて。毎年、草刈りをして、貝をまいたり、流れをつくったり、木の枝を切ったりしています。毎年毎年作業をして、それでホタルがいるようになった」
「この奥に、ホタルが出るわけですが、もともとホタルがすんでいたわけではなくって。ホタルが見れるこの場所は、自然にできた場所ではなくて、人がつくった場所であることを思い出しながら見てほしいです」
髙橋さんの言葉をふり返った後、教師が「ホタルを他の場所からつれてくることは、よいことですか」と問いました。子どもは、次のように話しました。
「どちらでもない。他の国から連れてくることはだめだが、日本のどこかならいい」
「『きれい』や『見たいだけ』とか人のため、娯楽のためならよくない。ホタルのためじゃないから。金谷にホタルがすめることが、ホタルの保護のためになっているならいい」
「ホタルの会の会長のお父さんには、理由があったはずだ。なぜ連れてきたのか知りたい」
金谷のホタルをどこから連れてきたのか気になった子どもがいたことから、森田さんの言葉を伝えました。
「ホタルのいない場所ですので、後谷や、青田川上流でほかくした卵から、幼虫をふ化させ、1万匹を育てました」
子どもは、「近くから連れてきたホタルだからよかった」「例えば日本の中でも、北海道と新潟でホタルの種類は違うんだよ」「2つの種があわさると雑種になってしまうんだよ」と話したり、黒板を使って仲間に説明したりしました。
金谷の生き物に外来種がいること、金谷の生き物を教室に連れてくること、金谷のホタルは他の場所から連れてきたことを見つめ直し、終わりに、「人の都合で生き物を連れてくること」について考えました。子どもは作文シートに次のように書いていました。
「人のつごうで生き物をつれてくるのは、その生き物の気持ちになって考えた方がいいと思いました。さいしょ、ニホンイシガメをつれてきたとき、そのカメさんも水そうから出たがっている姿は、たくさん見たことがあります。でも、今は、出たがっているときもあるけど、なれてきていると思います。」
「人のつごうで、生き物をつれてくるのは、しかたないならしかたないと思いますが、人のつごうでその生き物の人生を左右するという事をちゃんと分かってかう(今回の場合は、教室につれてくる)のは、大ぜんていだと思い、信じています」
「金谷にいるホタルは、きわめて人工的に作りだされた生き物なので、ある意味自然をこわしているのかなと思いました。人のつごうで生き物をつれてくることは悪いことだと思いました。それは、人のつごうでつれて来る事なので、自然のためにはなっていないと思いました。それに、人がやっている事なので、すべてが、正しいわけではなく、それが時には自然に悪えいきょうをおよぼす可のう性はなくはないと思いました。」
「人のつごうで生き物をつれてくるのは、だめだと思います。りゆうは、地球は、そもそも人だけのものじゃないから、人のつごうっていうあやふやな考えでつれてくるのはやめた方がいいと思います。あと、生き物にも気持ちがあるから、『いや、てきとうに』って言ってつれてくるのをやめてほしいと思います。」