実践道徳「おさんぽのいきさきについて」
創造活動「とことこスポット」の活動で、子どもは毎日ミミとショコラとおさんぽをしています。子どもは、ミミとショコラと共に原っぱやグラウンドへ行ったり、一緒に走ったりすることを楽しんでいます。しかし、おさんぽの途中でミミとショコラが立ち止まったり、クローバーなどの草を食べ始めたりしてその場から動かなくなってしまうことがあります。そんなとき、子どもは、「早くいこうよ」とミミやショコラのリードを引っ張ったり、「無理に引っ張らないで」「今はご飯を食べたいんだから」と仲間がリードを引っ張ることを止めようとしたりしました。
そこで、自分のやりたいこととアルパカさんのやりたいことの違いやアルパカさんのやりたいことが実現されないことの葛藤をとらえ、リードを引っ張ることを話題にしながら、おさんぽのいきさきを決めることについて実践道徳で考えていくことにしました。
「昨日のおさんぽさ、ショコラにカギがかかちゃって、全然動かなくなっちゃったよ」と子どもが話しました。子どもは、ミミとショコラが動かなくなってしまうことをカギがかかると表現しました。また、子どもは「ミミはさ、みんなが引っ張ってたから動いてくれなかったけどさ、ショコラはさ、みんなが引っ張るのをやめたら動いてくれたんだと思うんだけどさ」と話しました。
引っ張っても動いてくれないミミとショコラの姿、実際に引っ張っている自分や仲間の姿について写真や動画で見た後、教師から「ミミとショコラがうごかなくなったとき、リードをひっぱりますか」と問われました。
子どもは「引っ張れば引っ張るほどカギがかかっちゃうでしょ」「首がいたそうだったし、かわいそうだから引っ張らないでほしい」「でも、やっぱり引っ張っちゃう。一歩も動いてくれないんだもん」と、リードを引っ張られているときのミミやショコラの様子や、それでもどうしても引っ張ってしまう自分を思い出しながら話しました。さらに、「ご飯を食べて動かないのはさ、ミミとショコラの自由でしょ」「待つと時間かかっちゃうよ。とことこスポットの時間がなくなっちゃう」と、動かないミミ、ショコラを待つことで、自分がやりたいことができる時間がなくなってしまうことについて話す子どもがいました。一方で、「時間かかってもいいと思うよ。だって、アルパカさんは私たちと友だちでしょ。友だちを裏切るようなことはしたくない」「とことこスポットはミミとショコラのためにある時間だからさ。だからさ、おさんぽしているときにミミとショコラのさ、好きなことをやっていい時間だと思う」とミミ、ショコラのやりたいことを大事にする思いを話す子どももいました。
話が途切れない中、「最近さ、ミミとショコラグラウンド行ってないよね」と子どもが話しました。子どもは「暑くなってから涼しいところにいたいんじゃないの」「グラウンドは好きなんだけど、行くと走っちゃうからさ、それで暑くなっちゃう」「最近雨で、どろがつくのが嫌なんだよ」と話しました。一方で、自分たちはミミとショコラと共にグラウンドへ行きたい思いがあること思い起こしました。自分が行きたい場所、ミミとショコラの行きたい場所に違いがあることに気付いたり、ミミとショコラにやりたいことをやってほしいと話す子どもが多くいました。そこで、教師から「おさんぽのいきさきはミミとショコラにまかせますか」から問われました。
「〇〇ちゃんと似てる話なんだけど。〇〇ちゃんたちの行きたい場所に行ったってさ、楽しくないからすぐに戻っちゃうと思うよ」と改めて、ミミとショコラのやりたいこと、自由を大事にしたいと話す子どもがいました。また「ミミとショコラにまかせたほうがいいんだけどさ、おさんぽはミミとショコラじゃなくてさ、わたしたちにまかせたほうがいいんじゃないの。だって、もしかしてさ、まいごになっちゃうかもよ」「〇〇ちゃんの話でさ。思ったんだけどさ、確かにさ、ミミとショコラがさ、決めた場所だとさ、危ない場所だったりするかもしれないから、自分たちから決めてもいいかもしれない」と、ミミとショコラの自由を願いつつも、その自由の実現のためにミミ、ショコラの安全やそこにかかわる自分の責任について考える子どももいました。
子どもは、次のようなことを作文シートに書きました。
「おさんぽのいきさきは、ミミとショコラにまかせるよ。だって、ひっぱるとミミとショコラがうごかないから、さいしょミミとショコラのいきたいばしょにいって、つぎは、わたしたちがいきたいばしょにいったら、じかんがたのしいじかんになるとおもいます。ひっぱるとミミとショコラがかわいそうだから、いっかいひっぱることをやめたらうごくとおもいます。みんなあ、グラウンドにいきたいっていってるけど、ミミとショコラは、はらっぱにいきたいとおもいます。わたしは、いいじかんにしたいからさいしょにクローバーをあつめてきてたべさせて、まんぷくになったらおさんぽにでかけたらいいんじゃない。ほんとは、まるいけにもいきたいんじゃないかなあ。わたしは、おもいっきりあそびたいからじかんがもったいなくするのはやだとおもいます」
「おさんぽのいきさきは、ミミとショコラにまかせたほうがいいとおもうよ。なぜかというと、ミミ、ショコラのてんごくにしてあげたいから、ミミ、ショコラよろこんでくれるかな。そうかんがえるとわくわくしてきたよ。よーしまいににちミミとショコラのためにがんばるぞー。おー」
「おさんぽのいきさきは、ミミとショコラにきめてもらいたいけど、ミミとショコラのきめたばしょがあぶないところだったらだめだから、じぶんたちできめたい。ミミとショコラがあぶないばしょとあんぜんなばしょがわかってきたら、ミミとショコラにきめてもらうから。ここがだめととかここはいいよっておしえてあげたい。それかもっとおさんぽをしてれば、わかるかもしれない。ショコラとミミとはまだはなせないけど、きもちはつたわるとおもうから、だめなばしょといってもいいばしょをおしえられるとおもう。きのうリードをひっぱっているひとがいて、すこしずつひっぱるとうごいてくれたよ。うごかないことがわかってよかったよ。ミミとショコラはまだいろんなことをしってるわけじゃないから、もうすこしリードなしのおさんぽをつづけて、どこにいくのかみてみたい。でも、ずっとリードなしでいるのは、むりだとおもうよ。もうすこしいろいろなけいけんをして、いろんなところにつれていってあげたい」