セリフの意味をつくる
えんじて名シーン「きつねのおきゃくさま」で、子どもは、あひるの役になりました。演じる場面は、くろくも山から腹を空かせて下りてきたおおかみが、「こりゃ、うまそうなにおいだねえ。ふんふん、ひよこに、あひるに、うさぎだな。」と話したのに対し、きつねが飛び出し、命を懸けて3匹を守る場面です。
3つのチームが演じ終わると、話題の中心が、「いや、まだいるぞ。きつねがいるぞ」をおおかみが言うか、きつねが言うかということになりました。おおかみを演じた仲間は、「ひよこに、あひるに、うさぎだな。」と家の中をのぞいていた所、「あれ、それに加えてきつねもいるな」というつながりから、「いや、まだいるぞ。」の言ったのはおおかみだと話しました。また、他の仲間も、「きつねが自分できつねというのは、おかしい。だからおおかみだ」と話しました。一方、きつねが3匹を守るためにとび出した場面であり、前のセリフとは鍵括弧で分けられているから、きつねだと話す仲間もいました。
そこで、始めのセリフをおおかみが言い、次のセリフはきつねが言うように演じてみようということになりました。子どもは勢いよく手を挙げ、演じることになりました。
「えんじて名シーン、よーい、アクション!」 子どもは、おおかみになり、二つのセリフを全部言ってしまいました。仲間は、「あーん」と声を出し、やり直しとなりました。「よーい、アクション!」 子どもは、再び、全てのセリフを言ってしまいました。セリフを言おうと構えていたきつね役の仲間は、思わずこけてしまいました。子どもにとって、仲間と稽古してきたことが身体に染み込んでしまいました。
そして、3回目の演技、「よーい、アクション!」 子どもは、ようやくおおかみ、きつねとセリフをつなぎ、おおかみときつねが組み合う演技ができました。
子どもは、えんじて日記に次のように書いていました。
「おおかみときつねが言うことばが、つづきを言うことがわかりました。」
「悪いかいいかわからなかったけど、みんなのいけんでヒーローみたいか、悪いきつねかわかりました。」