スマイル、くわ、ホワイトは上越がふるさとだよ
秋が深まるある日、子どもから「やぎさんは冬が好きなのか、藤原さんに聞いてほしい」と頼まれました。やぎさんをお借りしているスエトシ牧場の藤原さんに連絡を入れると、やぎさんは暑さよりも寒さに強いことや、体を温めるために食べ物がたくさん必要なこと。そして、できれば雪が降る前に迎えに行きたいが、どうしてもと言うなら雪が降っても迎えに行ける、ということを教えていただきました。
子どもは「やぎさんかいぎ」を開き、冬のやぎさんとの生活について話し合ってきました。子どもは、次のように話しました。
「やぎさんがいなくなると、やぎさんのために作ったシーソーやすべり台、キッチンや柵、ガーデンがむだになってしまうよ」
「雪が降ると溶けると水になる。やぎさんは水がきらいだよ」
「キャベツ、にんじんをみんなで協力してもっと持ってくるのがいい」
「まだまだめえめえステップをしたいよ」
「赤ちゃんは、自分たちが育てたから返したくない」
「雪が降ると道路が滑りやすいから、藤原さんもやぎさんも事故にあってしまう」
「初めてやぎさんに会ったときすごくドキドキした。泣いている人もいた。それからこんなに仲良くなれた。その思い出がなくなってしまう」
子どもは話し合いを重ね、雪が降るギリギリまでやぎさんと生活を共につくりたいと願い、終業式の前の日に藤原さんに迎えに来てもらうことを決めました。
その一方、原っぱでランチタイムステップをしている子どもが、やぎさんを見つめながら次のように話しました。
「ブラウンとマックスは、長野生まれだから「帰る」だけど、スマイル、くわ、ホワイトが生まれたのは、上越だよ。ここが、ふるさとだよ。ぼくだったら、上越から離れたくないな。」
次のやぎさんかいぎでこの言葉を伝えると、子どもは次のように話しました。
「ぼくたちが育てたから、車に乗らないかもしれない。ぼくたちについてくるかも・・・」
「普通、旅行は楽しいけど、もう帰ってこれない旅行だ。さようならだ。」
「ちゃんとお別れをしなければいけない」
「いっぱい思い出をつくれたから、ありがとうと言いたい」
子どもは、やぎさんとの残りの時間もたくさん思い出をつくりたいと話していました。