機能は充実していくべきか
創造活動「ぱらまちアプローチ」で、体に障がいがある人が使う多種な車いす、視覚障がいがある人ができるようにつくられているルービクッキューブやボールなど、様々な物にふれてきました。
そんな子どもに、「これからも障がいがある人が使う物の機能は、どんどん充実していくべきか」と問いかけました。子どもが、「機能が増えれば障がいのある人がこれまでできなかったことができるようになる。充実したほうがよい」「不便に感じることが少なくなり、障がいがある人の生活にとってよい」と話しました。中には、「物の機能が充実することのデメリットがない」と話す子どももいました。
そんな中、創造活動「ぱらまちアプローチ」でかかわった方が、「物の機能が充実することで新たなことができるようになる反面、これまでできたことができなくなってしまうことがある」「物の機能が充実し、できることが増えていくと、これまでに大切にしてきた障がいがある人の文化がなくなってしまうかもしれない」と話していることを紹介しました。
その後、「障がいがある人の生活に便利を与えるために、できることを増やすために、機能は充実させていくべきか」と問いかけました。充実させるべきと答える子どもがいる一方で、どちらか判断できなくなったと答える子どももいました。
子どもは、作文シートに次のようなことを書きました。
「障がい者が大切にしていることをなくさずに、充実していくことが大切だと思います。その人が今まで頑張ってきたこと(例えば、手話を頑張って覚える)を、道具が充実したことで、この世から必要なくなったら、動力が無駄になってしまうと考えたからです」
「やっぱり充実したほうが良いと思います。確かに充実すると失われるものもあります。でも、失われるものより、得られるもののほうが強いと思います」
「○○君が言ったように、充実と消失のループはいつか終わる。いつになるか分からないけど、充実と充実のループが起こるかもしれないので、やっぱり道具の充実は大切だと思います」
「道具の充実はしていくべきだと思うし、ある程度のところで止めるっていうのも必要だと思います。充実して大切なものが失われることのつらさがあると気づいたからです。ある程度のところで充実させないことも大切だと思いました」
「これからの道具の充実について、障がいがある人の一人一人の思いを大切にしていくことが大事だと思いました。道具が充実することでなくなってしまうものもあるので、一人一人の判断になると思います。自分が楽しく過ごせる判断をすればいいと思いました」
「自分は、充実しすぎて手話とかがなくなってしまうのが嫌です。でもだからといって全く充実していかないことになったら、障がいがある人は苦労があることになります」